絵本のちから

acowakei

2010年12月06日 21:35

12月4日、磐田中央図書館主催の『子どもと読書講演会』に行ってきました。
講師は『ももたろう』『だいくとおにろく』『ぴかくんめをまわす』(いずれも福音館書店)などの代表作があり、児童文学者の松居 直(ただし)さん。
月刊物語絵本「こどものとも」を創刊するなど、創作絵本や物語絵本の領域を開拓し、福音館書店編集者として、子どもの絵本にもっともふさわしい数多くの作家・画家を見つけ出し、ベストセラー絵本を生み出してきた、まさに今日の絵本の隆盛に寄与した第一人者であります。


私が印象に残ったお話は、今年84歳になられた松居さんが、幼児期に母親に読んでもらった絵本の内容やその時の母の表情、においなどを今も鮮明に覚えていらっしゃるということ。
5人兄弟の4番目だった松居さんが、唯一お母さんを独占し、ぬくもりを感じられるひと時が夜眠る前の“絵本タイム”で、この至福な時間が今も松居さんの心の土台となっているのだなあと感じながら聞いていました。
また、松居さんが編集された『ぐりとぐら』の絵本を子どもの頃に読み聞かせてもらった経験のある人たちに「作者の名前」と「読んでもらった人の名前」を聞いてみたところ、作者はわからないが、ほとんどの人が読んでくれた人のことを覚えているくらい、読み手の印象が強いそうです。

私も娘たちが保育園児だった頃は、毎晩お布団の中で子どもの選んだ絵本を読み聞かせてあげていましたが、ここ最近自分の忙しさにかまけて、子供たちと一緒にお布団に入り、絵本を読んであげる時間が少なくなってしまっていたことを申し訳なく思いました。

子どもたちが大きくなって、ふとした時に絵本体験と母のぬくもりが思い出されて、それが人生の支えになっていくことを思うと、このわずかな子育て期を大事に大事にしていかなければ・・とあらためて感じ、またそれを多くのお母さんたちにお伝えしたいと強く思いました。

「絵本」は人と人とを結びつけてくれる大切なもの。テレビのような映像では味わえない、生のぬくもり、ことばの表現力、心の安定感を与えてくれます。
“映像社会の現代だからこそ、「絵本のちから」を見直して、子どもたちを心豊かに育ててあげたい”という松居さんのメッセージを強く心に受け止め、これからの保育、子育てに活かしていきたいと思います。

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